スペイン首相演説と重なる戦争体験者の訴え
こつこつ積み上げてきた歴史の教訓がいとも簡単に壊されていくようです。2度の世界大戦の反省から国際連合が誕生して80年が過ぎました。主導してきたはずの米国が平和を求める枠の外に飛び出しました。イスラエルと共にイランに大規模な攻撃を始めたのは今年2月下旬です。
国連決議や自国の議会への通告を経ないままの武力行使です。イラン側に核兵器開発の疑惑があるとしても、国連憲章や国際法の歯止め装置はどこにいったのでしょうか。
双方の応酬は続き、原油価格は高騰。国内の暮らしも影響を受けています。
強大な権力を振り回す米大統領の前に各国の指導者たちがあいまいな立場をとる中、異色だったのはスペインのサンチェス首相のテレビ演説でした。
イランの政治体制や反撃行為も認めないとしたうえで、米国などの行動を国際法違反と批判しました。演説で強く訴えたのは「戦争反対」です。
「私たちが国際法の側に立つか否か、つまり平和の側に立つか否か」
同首相が演説で「歴史から学ぶべきだ」と触れた過去の紛争は23年前のイラク戦争です。
大量破壊兵器を隠し持っていると米国が主張してフセイン政権を倒しました。しかし、後に米国の主張が誤りだったと判明します。市民を含む大きな犠牲は何だったのでしょうか。
首相演説の訴えは、国内の取材や報道で耳にする先の大戦の体験者の声と重なります。
「戦争反対」「外交的、政治的解決を」
朝日新聞立川支局員 山浦 正敬
