ロッドマン父娘の物語
1990年代の米国プロバスケットは、マイケル・ジョーダンとスコッティ・ピッペンによるシカゴ・ブルズ黄金時代でした。そこにもう一人記憶に残るのがデニス・ロッドマンです。
派手な髪、全身のタトゥー、コート内外で繰り返す奔放な言動は賛否を呼びました。一方で、トライアングル・オフェンスと呼ぶブルズの難解な戦術を悠々とこなし、リバウンドを奪う能力は図抜けていました。さらに圧巻は守りです。細身の全身をむちのように使い、相手の得点源を抑え込む「エースキラー」で名をはせました。
のちに殿堂入りするこの名選手を思い出したのは、娘のトリニティ・ロッドマン選手が米女子プロサッカーリーグで、平均年俸200万ドル(約3億円)の3年契約を結んだという報道でした。男女差はまだ大きいとはいえ、国際的にも女子サッカー最高額と米テレビ局は伝えています。
彼女は1年目で新人王となり、米代表入りした2024年パリ五輪で金メダルに貢献しました。抜群の攻撃センスを持ち、23歳でチームの中核です。
父親からどんな影響を受けたのか。彼女はしかし、両親が早くに離婚したことに加え、父がもっぱら子育てとは無縁だったとテレビ局のインタビューで打ち明けています。思えば父もまた複雑な家庭でした。
育った環境とスポーツのキャリアは安易に結びつけられないし、2人の競技は異なり、チームでの役割も違います。けれど理知的で視野が広く、仲間の力を生かす父と娘のスタイルは、二重写しに見えます。
朝日新聞論説委員 西山良太郎
